ウィスパー・ヴォイスを用いたアシッド・フォークを基調とし、口承民謡、インディー・ポップ、アンビエントなどを織り交ぜた、壮美でありながら儚い歌を紡いできたLUCA。ソロ活動に加え、坂本龍一、There is a Fox、haruka nakamura、写真家のMiho Kajiokaなど、音楽の枠を超えたコラボレーションを行なってきたLUCAの2015年のデビュー・アルバム、『So, I began』のリイシューが決定しました。
アルバムは、夜霧に映る満月の月明かりのように重複したコーラスの「Fullmoon」で幕を開け、果てしない宇宙のあらゆる存在への賛美を歌う「Denmark」、その世界を目前にまだ大人とも子供とも言えない歳のLUCAが自身に向けて書いた曲 「Kiss to the past」などが収録されています。また、唯一帰国後、京都に拠点を移し音楽活動を始めた時に書かれた「Anuk」は、他の曲に比べて、映像感覚が強く、LUCAの後作を想起させるドラマチックな曲調をとっています。
ピアノ・アレンジには2020年タリンブラックナイト映画祭で最優秀音楽賞を受賞したYuma Kodaが参加。全編、英語で歌われたこのアルバムは60年代カリフォルニアで“Back to the land movement”を担ったアーティスト、アリシア・ベイ=ローレルにも高い評価を受けました。感情や思考を純粋に書き出す詩は、LUCAの生まれの地でもあるカリフォルニアを起源とするアシッド・フォークの系譜を継承しています。またLUCAの次作となる『摘んだ花束 小束になして』に収録された日本の口承民謡に込められた「日々の営み」を賛美する精神性も垣間見えます。
『So, I began』にはLUCAの歩みの「始まり」が記録されており、10代の彼女の目に映る世界はあまりに眩しく、私たちは歌に手を引かれることで、その世界に戻ることができます。「始まり」に立っていた当時のLUCAにしか歌えない曲たちが、時を超えて私たちの琴線に触れる、そんな1枚のアルバムとなりました。
Track listing:
1. Creature of imagination
2. Full moon
3. Denmark
4. Anuk
5. Take me with you
6. Kiss to the past
7. My love My hope